男性同士の恋愛は美しい!?

ヒ・ミ・ツの趣味…
    2次元恋愛続行中!
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      間の楔

      BL業界の先駆的存在

      昨今、商業だけでなく同人業界においても女性向け商材となるBLがかなり熱くなっています。最近のアニメ作品の魅力的な男性キャラクターを見て、特定の話しているシーンを見て、もしくは横に立っているだけで色々な妄想を繰り広げられ、その内に高まる情熱を同人誌に向けて他の人たちとその魅力を共感したいということで、同人活動を始める人も増えてきている。実際に今年開催した『コミックマーケット84』において、初日となる8月10日は女性向け同人誌を多数取扱っている日でもあったことで、初日だけで約21万人もの人々が来場した。今回のC84においては三日間で合計59万人という最多記録を達成することになるほど、男性だけでなく女性参加者も増えてきているので経済効果は侮れない。同人業界だけでなく、プロの商業として活動しているBL作家も数多く存在していることを考えたら、その規模はこれから先もドンドン拡大していくことになるだろう。

      現在でこそかなりの規模を誇るようになったBL業界だが、これが一昔前では嫌悪の対象となっていたことはよくご存知でしょう。今でも同性愛というものに対して抵抗感を覚えていることを考えると、そんな人々にとっては毛嫌いする対象と見られているのも仕方のないことでしょう。特に90年代以前では、同性愛という考え方を日本人の大半が受け入れていないことでしょう。そんな時代の中でとあるBL作品が世に送り出されることになる。その作品は知る人ぞ知るBL業界の代表格とも一部では称えられているほどである『間の楔』である。もちろん業界に精通している人でないと存じていないのは当然としても、この本が出版された1986年に雑誌で掲載されたことで、男性同士の恋愛像に対して興味を惹かれる人が多くなったといわれています。また、現代の業界の礎を築くことを促した作品とも考えられている。

      作品の概要・あらすじ

      ではその間の楔という作品がどのようなものとなっているのかということを読み解いて行こうと思うのだが、結局のところ男性同士がヤっている内容になっているので、拒否反応が出る人はこちらのサイトを覗かない事をお勧めします。

      間の楔は雑誌に文章の掲載から始まっており、約1年間の連載で完結して連載から5年後に文庫版の発売がされている。連載から発売までの間にかなりの時間が掛かっているのが気になるが、やはり当時の風潮として同性同士の作品が文庫として世に送り出されることは中々難しかったのかもしれないが、作品の人気は時間の流れを気にしないほどに大ヒットとなり、文庫が発売された1992年にはOVA化され、人気声優を起用して映像化もされている。今ではその映像もファンからすればかなりの貴重品となっており、映像を収録しているビデオは既に杯盤となっているため入手は困難となっているが、DVD版に関してはプレミア価格がついているものの購入することは可能となっている。

      人気の高さから間の楔のリメイク版が2012年には全4巻で発売されていました。Blu-Ray・DVDと両方のタイプで発売されているが、中でもBlu-Rayにおいてはファンなら喉から手が出るほど欲しいと評判になっている特典付で発売された。さらに全巻購入した人には応募者全員で作者書下ろしの小説をプレゼントする企画も行なわれていたので、信者からすれば見逃したら死刑ものだったことに違いない。リメイク版でも声優も一新して、近年特に脂の乗っている熟練の声優たちが男同士の恋愛を繰り広げている世界はまさに独特そのものだ。実は声優業界において、男女共通で同性同士の作品に声を当てる仕事をこなしている人が数多くいるのも周知の事実となっている。そのため、有名な声優であればあるほど実は過去にBLや百合といった作品の声を当てていた、なんて事実を知るときもある。本人が本当に毛嫌いしてやりたくないということを明確にしていれば仕事を行なうこともないかもしれないが、昔も今もドラマCDなどの同性同士の恋愛を描いたボイスストーリーは人気を博している。今でも業界にとっては貴重な収入源となっており、声優としても自分を知ってもらってファンを増やすことを考えたら欠かすことのできない仕事なのかもしれない。何にせよ、既に業界の中では同性恋愛の作品に対しての地位は確立されていたこともあり、声優たちにとっては同性同士の作品、特に男性声優からすれば登竜門的なものになっているといって過言ではない。

      さて、作品のあらすじを紹介していこう。一言でこの世界の主人公達の恋愛模様は、男女の恋愛で考えるところの『身分の違い』が大きいのではないだろうか。本来関わることのなかった本人たちが交わるとき、意志に関わらず本能で惹かれあう姿は中世ヨーロッパの、許されざる恋愛をしている男女の話によく酷似しているといって良いだろう。当然だが、恋愛物なので男性であっても行くところまでいくのは了承していただきたい。だがこの作品においてはその表現よりも、運命的に巡り会った二人がその後本当に心から愛し合うようになっていく様を描いているので、この作品においてもやはり究極的な愛を、同性愛という立ち位置で表現していると見れる。男女でないと描けないようなそんな恋愛模様を巧みに表現している今作は、そこが魅力的であると考えている人もいることだろう。

      しかし結果的にこの二人が現世で結ばれることなく、最後は崩れ行く建物の中でようやく相思相愛に会った主人公達は、渦巻く業火に焼かれながら死を迎えるという悲恋になっている。結末に対して納得できないという人もいるかもしれないが、これはこれでお互いの愛を確かめ合った後に迎えることで、身分を越えて、やっと誰にも邪魔されずに結ばれることを考慮したら最良の終わり方だったのではないだろうか。意見が分かれるかもしれないが、私はそう考えている。

      登場人物に関して

      作品の世界観としては、近未来をモチーフにして描かれているのが特徴だろうか。この世界においては男性同士の恋愛はごく自然なことであると設定されているため、登場人物達は基本的に皆男性同士の恋愛に興じている。もちろん女性の姿も描かれているが、主要となるのは男性のみとなっている。主人公とその相手は、その世界においては一番最下のスラム出身の若者、方やその世界においては国を支えている幹部の一人として活動しているエリートとなっている。そんな二人が邂逅するとき物語が始まりを告げることになるので、簡単に登場人物について紹介していこう。

      主人公 リキ

      本作の主人公で、いわゆる女役をやることになる方だ。出身はスラムで生まれつき煌びやかな界から遠い存在となっているが、いつか自分もそんな世界の一人になってみせるという野望を持っているとき、ふとしたきっかけから大きな仕事を請け負うことになるのだった。それは彼が望んでいた華やかな世界へのチケットそのものだった。当時恋人関係にあった男と別れ、単身旅立っていくことになるが彼の運命はここから奔放に流転していくことになる。

      とある施設に無断で侵入したときに出会った一人の男性、金髪の白く透き通った人間離れした男性の『イアソン』という名の男性と出会ったことで、リキの人生は大きく左右されることになるのだった。リキには他者を惹き付ける独特の個性を持っており、リキの魅力に当てられた人間はあらゆる欲望を抱えることになっていた。イアソンもその一人となって、リキをペット、つまりは愛玩道具とするのだった。華やかな世界とは裏腹に、イアソンに飼われる生活を送ることになったリキは彼に対して憎悪といった感情を持つようになった。

      ところがある日、イアソンから突然放逐を受けて生まれ故郷となるスラムへと帰還することになる。そこで再び自由を手にすることになるが、イアソンはリキを手放したのではなく、自由という名の猶予を与えただけだった。かつての仲間達との日々を送っていくことになるリキだが、ある仕事を請け負ったときに仲間の一人から裏切りを受けてしまったことで治安維持部隊に拘束されてしまうのだった。しかしそれもイアソンがリキを連れ戻すための手段だったこともあり、リキは再びイアソンの元へ還る事になってしまった。

      どうしてここまで自分に対して固執するのか、イアソンの以前とは違った接触の仕方に戸惑いを覚えながら時間を過ごしていく中で、リキはイアソンに対して愛情を抱いていることに気付くのだった。その後リキを連れ戻しにきたかつての恋人に帰ることを提案されるも、その手を拒んでしまうのだった。やがてリキがイアソンに対して恋心を持っていることに気付いた恋人はある狂気に出てしまう。その後イアソンに対して挑戦状を叩きつけるようにして恋人、そしてイアソンの後を追うようにしてリキも二人の元へ駆けつける。その時建物が崩れ始め火が上がっていた。脱出するときに、イアソンが両足を失ってしまい自分には逃げるように言うその姿を見て、リキは崩壊していく建物の中で、イアソンと運命を共にするのだった。

      もう一人の主人公 イアソン

      リキの相手役にして、彼に対して後に強烈なまでの愛情を抱くことになる。本来イアソンに愛情というものが芽生えることはなかった。この世界における世界における国を支えるトップ達は全員に多様な格好をしているが、彼らは全員脳以外は機械で構成されているアンドロイドだった。国を運営している彼らにとっては感情というものは基本的に存在していない、しかしその中で趣味の範囲で彼らは特定の人間を『ペット』として、飼うことで日々の生活に何かしらのゆとりを持っている。イアソンはそのようなことに興味を持たなかったが、彼がリキとであったことで大きな変化を遂げることになるのだった。

      最初こそリキのことはただの道具としてみていなかったが、リキと触れ合っていくことで自分の中でリキに対して一つの感情が芽生えていることに気付くのだった。イアソン自身、自分がリキに対して抱いている感情何なのか理解していなかったが、自分がリキに対して並々ならぬ愛情を抱いていることを自覚するのだった。しかしイアソンは自分に対して反抗的な態度しか見せないリキを手放すことを決意する。一度自分の元から離すことで自分の元へ帰って来させようとしたのだ。リキを放逐してから半年後、連れ戻すには良い機会としてリキの仲間を利用して、自分の手許に帰ってこさせるように仕組むのだった。まんまとリキを取り戻すことに成功するイアソンだったが、彼は自分の本心をはっきりとリキに伝えようとはしなかった。

      そんな時、リキがかつての恋人にさらわれたことを察知すると、力につけている発信機を頼りにその場所へ向かい、拉致犯になったその相手と対峙するのだった。リキの姿を出すように言うイアソンだったが出されたものを見て作中では見せたことのないほど激情して殺意をあらわにするのだった。徹底的に暴行を繰り返すイアソンだったが、建物に仕組まれていた爆弾が起動し、そこへリキが現れたことで脱出を図ろうとするも、崩落する建物からリキをかばう形で両足を失ってしまう。リキには生き残るように言うも、彼の言葉に逆らって戻ってきた力を受け入れ、燃え盛る火の手が上がる中、イアソンはリキと寄り添いながらその生涯に幕を下ろすだった。

      リキの元恋人 ガイ

      作中において、イアソンの恋敵となる人物で、かつてはリキと恋仲にあった。リキがスラムから脱出するための切符として手に入れた仕事を持ったことで、そのまま二人は円満に分かれることになった。ひとり残されたガイはリキの幸せを祈りながら自分の暮らしを続けていた。とある日、リキが突如として戻ってきたことで再び共に暮らし始めていく。ずっとリキのことを想っていたガイからすればこの上ないことだったが、リキの様子が少し違っていることに対して不安を覚える。

      そんな中、リキたちと共にイアソンが仕組んだ罠となる仕事を請け負ったことで治安維持部隊に拘束されてしまうも、リキがイアソンの元へ帰ることで解放される。その時、リキがイアソンのペットとして飼われていたという事実を知ることになるのだった。事実を受け入れられないガイはイアソンに対して激しく嫉妬と憎しみを抱くようになり、リキを取り戻すために一人奮闘する。

      ようやくリキと会えたことで彼を連れ戻そうとするが、その手を振り払ったことでリキがイアソンの元へ帰れないようにするため、リキの性器を切り落としてしまうのだった。その後イアソンと決着をつけるために罠を仕掛けた放置された建物の中でイアソンを待ち構える。そこへ現れたイアソンに性器と、そこに付けられていたペットの印となるリングを見せたことでイアソンの怒りを買う。交戦するも、もともとの戦闘力の違いもあったことで片腕を簡単にへし折られてしまうのだった。この状況を逆転させるために建物に仕掛けた爆弾を起動して形成を優位に働かせようとするも、迫り来る火の手から自身も逃げることに精一杯になるのだった。駆けつけたリキとイアソンの3人で建物に脱出するときにイアソンが両足切断という事態になり、リキと共に脱出しようと手を伸ばすも最後までリキはガイの元に帰ることはなかった。そして一人何とか生還することになったガイだが、片腕と生涯愛した男の二つを失ったことで、計り知れない絶望を背負うことになるのだった。

      作品を通して

      登場人物は以上の三名が中心的になっていると考えたので、時にピックアップして紹介してしまったが、それでも十分に重厚な物語性を感じさせる内容になっている。ただの男性同士の恋愛像を描いているのではなく、その圧倒的なまでの物語性でも今の作品と比べても全く見劣りすることのない世界はまさに感服するほどの完成度を誇っている。

      この作品は後に伝説的な作品として元祖BL小説とまで称されることになり、今の業界を支える上で重要な基盤となるのだった。<